キスのはなし
行き場のなかった心のアルバム作りをそろそろ始めようかな。
人生まだまだこれから、これから。35歳主婦、理恵です。
先日、ある女子会に参加させていただいた時、今流行りの「壁ドン」の話題になりました。
「壁ドン」とは、壁を背にした女性に対して、男性が壁に手をついて追い詰める形のシチュエーションですね。
私は女性なので、このばあいは追いつめられる側になります。
少し恥ずかしいですが、この追いつめられるという感覚はちょっといいかも…と、今は思ってしまいます。
今は、というのは、この話題で私はある自分の過去の出来事を思い出しました。
私がまだ10代の頃、壁ドンではなかったですが、これとよく似たシチュエーションを経験しました。
そのころ好きだった男の子と立って話をしていた時、ふと会話が途切れた瞬間、彼の顔が私に近づいてくるのに気づきました。
壁を背にしていた私は、急な展開に対応できずに身動きが取れなくなってしまいました…。
そして、彼の顔が私にたどり着く距離が、あと数センチというところで、彼の動きが止まりました。
そして一言、
「変なカオ。」
…と言って、離れてしまいました…。 ガーン…。
私は緊張のあまり、彼を思いっきりにらみつけていたみたいです。
彼のことはとても好きだったのに、気持ちと裏腹な行動をとってしまった自分の幼さを、懐かしく思い返して照れくさくなりました。
その話をさせてもらった時に、「ファーストキスだった?」という質問をされました。
ファーストキスという響きは、初初しく、なにか素敵な始まりを予感させるなぁと思います。
ファーストキスの記憶は、ほとんどの人にとって大切な思い出なのではないでしょうか。
私も、ファーストキスのことは覚えています。
その時のシチュエーションがあまりにロマンチック過ぎて、ここでは表現しきれません…。
きっと「それは嘘だろ~?理恵の妄想だろ~??」と言われそうなので(笑)今はその自分の心の中を言葉で表現するのはやめておきます。
そんなロマンチックなキスの後、(笑)お相手だった彼は、私に思いがけないことを言いました。
彼は、「キス初めてじゃないだろ?」と私に言ったのです。
私はその時、否定も肯定もしませんでした。
そして、「なんで?」と彼に聞きました。
彼は、「口が開いていたから。」と言いました。
私は、「ほぉー、なるほどー…。」と思いました。
彼の質問には答えずに、そのままなんとなく受け流してしまいました。
だから、彼は自分が私のファーストキスの相手だとは、きっと知りません。
でも、もし正直に「あなたが初めてです。」と伝えていれば、どういうことが起こったかなぁと想像してしまいます。
彼の「初めてじゃないだろ?」という質問の意図は、何だったのでしょうね…。
誰も手を付けていない自分だけのものって、大切にする半面どんな使い方をしてもいい(何をしてもいい)と思わせてしまうような気もします。
人間の支配的な感情の部分が、独占欲に変わっていく。
自分に嘘をついて、ここから目を逸らし続けると、本当の価値は見えてこない…。
私のファーストキスの価値は、私にしかわかりません…たぶん。