tunageru・・・

年の瀬も押し詰まってきました。

気づけば、赤穂浪士の討ち入りの日も過ぎ…。


「最近、年末に『忠臣蔵』観なくなったな…。」
と思っているうちに、キリスト様のお誕生日になり…。


あとは、紅白歌合戦ですかな…と一応言ってみたりする昭和世代女子、理恵です。

あ、そうだ、12月はワタクシ理恵の誕生月でもありました。


35年前のこの季節、私はこの世に誕生いたしました。


現在3児の母になった私ですが、この立場になってみて、母親のその頃の気持ちに想いを馳せてみると…。
…しみじみしますね…。


最近は夫の立ち合い出産も当たり前になってきましたね。


テレビのドキュメンタリー番組などでも、よく出産のシーンを目にします。


二人で喜び合う映像はとても感動的ですね。


でも、私はいつもそれを見る度に、どうしてか…複雑な思いに駆られてしまいます…。

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あることで一組のカップルが大ゲンカした。


二人は結婚を約束していた婚約関係であった。


お互い休みの日は、ほとんどが結婚式や披露宴の準備をするために式場に行ったり、新居の家具を見に行ったりしていた。

その日も、二人で式の打ち合わせに行き、その後立ち寄ったお店で昼食を食べながら話をした。


会話の中で、将来の子どもの話題になった。


男性の方は子どもに関してはその時点では、あまり興味がない感じであった。


女性は子どもに関心があり、自分の理想などを語っていた。


そして、彼女は自分の知識だけで立ち合い出産の素晴らしさなどを彼に伝え、当たり前のように彼もそうしてくれるだろうと思っていた。


ところが、彼は「俺は絶対にいやだ!!!」と言ったのだ。


そこまで…?というくらい、彼が頑なに拒絶するので、彼女の方も意地になり、言い合いになってしまった。


彼女は、なんだか自分自身が受け入れてもらえないような気持ちになった…。

その後、二人は結婚して子どもを授かった。


彼女は彼に立ち合い出産をしてほしいと思っていたが、あの大ゲンカのことをずっと引きずっていた。


「どうする?」と聞くと、彼は最初はやっぱり「嫌だ。」と言った。


でも、彼女はあきらめていなかった。


プレママ教室に通い、母乳育児や立ち合い出産の勉強をした。


そして、ほぼ強制的に立ち合い出産をすることが当たり前の状況を作ってしまった。


すると妊娠期間が進むにつれて、彼も協力的になってきた。

そして出産の日、彼は陣痛の段階から最後まで彼女に立ち会った。


彼女にとってそれは、人生で初めての、長く苦しい時間であった。


彼女は彼の存在を感じられなくなるほど、痛みに向き合うことに必死だった。


その時の彼女は、完全に一人きりで戦っていた。


彼はそんな状態の彼女に、為す術もなく、見守るしかできない自分に虚しい思いを抱いていた…。

…そしてついに…二人の間に新しい命が誕生した。

その子の泣き声はとても力強く、「自分は紛れもなくここにいる。」という存在感に満ち溢れていた。


母親になった彼女の胸に抱かれ、小さな小さな手で、必死に何かをつかむような仕草をした。

その子の誕生は、親である二人それぞれにかけがえのない喜びをもたらしてくれた…。


…しかし、彼女はその時彼に対して「無理やり立ち会わせてしまった。」という罪悪感を持ってしまった。


その時初めて、彼がなぜあんなに嫌がったのかに気づいたからだった。


彼女は、彼の彼女に対する愛情が足りないと心の底で不満を持っていた。

そんな想いから逃れたくて、彼に対して素直に感謝できない自分を感じていた。


「私は一人で何でもできる!どうだ!私はすごいだろ!!」


そんなことを思っている、傲慢な自分があった。


「立ち合い出産は嫌だ!」と思っているのは、彼ではなく、自分であったことに彼女は気づいた…。

でも、「そんなことを思ってはいけない。」という自分の中の禁止令に苦しんでいた…。

その日の夜、個室のベッドで彼女は初めての授乳に何度も戸惑った。


「うまくできない…。」


彼女の乳房を一生懸命に吸おうとする赤ちゃん。


でも、パンパンに張った乳房は小さな小さな赤ちゃんの口の上で滑るばかりだった…。


助産師さんの寝ずの指導を受けながら、だんだん上手に授乳ができるようになっていった。


彼女は我が子と息が合っていくのを感じていた。


そして、おっぱいを飲みながら、いつの間にか自分の腕の中で眠ってしまった我が子を見つめた。


彼女はその夜初めて、生まれてきた子のために泣いた…。


翌朝一番に、生まれたばかりの孫に会いにやってきた人物達がいた。


それは、彼の父親と母親だった。


彼女にとって、義理の父親であるその男性は彼女に笑顔でこう言った。

「ごくろうさんやったな…。」

その時、彼女は初めて自分の心が柔らかくなったのを感じた。

ある想いが彼女の中に入り込み、優しく包み込まれたような気がした。

その言葉は、時間を越えて、彼女を通して、ある人の下へ届くはずだと…。


彼女は声に出して言った。


「お義父さん、お義母さん、ありがとう。

これからよろしくお願いします。」


義理の父の後ろで、彼の最愛の人が微笑んでいた…。


来年もこの地球上で、いくつもの感動が生まれるのでしょうね。
それぞれの尊い命が作り出していく人生に、どれだけの人が繋がっていくのかな…。
どんな出会いがあるかなっっ?!(*^-^*)
楽しみですね。

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