箱庭と私
理恵でっす。
「今、一番ハマっているものは何ですか?」と聞かれれば、私は迷いなくこう答えます。
「箱庭です。」
今改めてこの、私をとりこにした箱庭について、そこはかとなく、書き綴ってみようと思います。
私は、これまでにいくつも夢中になるものがありました。
幼いころは、歌を歌うことが大好きでした。
自分の歌声をテープに録音したりして、よく遊んでいました。
レコーダーに向かって、一人で歌っていたので、今思うと「なんてさみしいやつなんだ…。」と思ってしまいますが…(笑)
大人になってから、そのテープを母親が大切にとっておいてくれたのを見つけたときは、照れくさくも、うれしい気持ちになりました。
絵を描いたり、お話を考えるのも好きでした。
それで、自分で絵本もよく作りました。
いらなくなった書類の裏紙を半分に折り、ホッチキスでとじて冊子にしたものでした。
一か月に一度、父方と母方の両方の祖父母に手作りの絵本を贈っていました。
そのころは横浜に住んでいたので、私が作った絵本を、母が祖父母の住む大阪まで、毎月郵送してくれました。
祖父母に喜んでほしかったのもありますが、どちらかといえば母親に見てほしくて、一生懸命作っていたような気がします。
本は自然と読むようになりました。
印象に残っているのは、「くまの子ウーフ」という児童書です。
主人公のウーフの見ている世界を想像しては、楽しい気持ちになったのを覚えています。
「メアリーポピンズ」のシリーズもよく読みました。
私が幼いころからよく感じていた、なんだかわからないけれどフワフワした気持ちが、言葉によって表されている本の世界は、子どものころの私にとっては、とても魅力的な世界でした。
中学生くらいになると、絵本ではなく漫画を描くようになりました。
友達とイラストを描いたノートを交換し合う、いわゆる交換日記的なことをずっとやっていました。
私は人物を描くことが好きで、カッコいい男の子や、可愛い女の子を想い描いては、それを紙の上で表現するということをひたすらやっていました。
高校の頃からは、絵ではなく音楽で表現することに心がシフトしていきました。
バンドに憧れて、ライブを観に行ったり、自分でもバンド活動をしてみたりしました。
高校を卒業してから入った短大で、知り合った友達がやっていたファッションショーに行かせてもらう機会がありました。
その影響で洋裁を習い始め、朝から晩まで服作りに没頭しました。
それから、短大を卒業し、普通に就職して、結婚して、出産して、子育てして…。
振り返ると、自分はいったい何をしたかったのだろうと思いました。
その時、瞬間は情熱の向くままに動いても、方向性が定まらずにウロウロしたあげくに、結局もとの場所に帰ってくるということを繰り返していました。
なぜ、そんなことを繰り返してしまうのか…。
それは、私が「目的」を持たなかったからだと気づきました。
「私はこれになる。」という明確な目的がないまま、ただやりたいように時間を過ごしていました。
敢えて言うならば、「なんでもいいから誰かに評価してもらいたい。」という目的のもとに動いていました。
今まで自分が夢中でやってきたことを振り返ると、歌手になりたい、絵本作家になりたい、小説家になりたい、漫画家になりたい、ミュージシャンになりたい、ファッションデザイナーになりたい…というような夢を持ってもおかしくはないと思いました。
全く考えなかったことはないですが、心のどこかでしっくりこなかったのだと思います。
それは、私の心の底で「まさかね。」という想いが居座っていたからです。
この「まさかね。」は、二つの役割を持っていて、一つは自分に対して期待するというものです。
そして、もう一つの役割は、自分に対して諦めるというものです。
私は、このどちらの役割も大切だと思います。
ただ、この「まさかね。」の大切な役割も、自分で機能させなければただの心の重荷になるだけだと思います。
私は、自分の「まさかね。」を、自分で動かさずに放置したままで、機能させることをしてこなかったのだと思います。
期待もせず、諦めもしない「まさかね。」は、本来の力を発揮させられずに、どんどん錆びついて心の重荷になるどころか、普段の生活にまで影響していくように感じます。
実際、私は生活に支障を来していました。
心の中は、機能しない「まさかね。」のおかげで、循環できないモヤモヤでいっぱいになりました。
息苦しさに耐えられずに、私は体を壊しました。
そして、このままではいけないと思った私は、自分を立ち直らせるためにセルフケアをすることを思いつきました。
そこで、心理学を学び始めました。
そんな時に、やっと巡り会えたのが箱庭でした。
なぜ、私がこの箱庭に出会えたのかというと、私があることに気づき、今までとは決定的に違う行動をしたからだと思います。
それは、私が初めて明確な「目的」を持って行動したからです。
その「目的」とは、「カウンセラーになりたい。」という夢です。
なぜ、私がカウンセラーになりたいという夢を持ったのかは、また別の機会に書きたいと思います。
カウンセラーになるための学びの中で、私は箱庭に出会いました。
そして、箱庭の中に、自分の心を表現できたときに、ものすごく大きな気づきを得ることができました。
私は、自分を表現できる相手を探していたのだと思いました。
そして、それが私にとっては「箱庭」だったのです。
私が今までやってきたことが全て繋がりました。
「今、一番ハマっているものは何ですか?」と聞かれれば、私は迷いなくこう答えます。
「箱庭です。」
そして、答えた後に思います。
私の心は機能しているな…。